サービス内容をコミカルに分かりやすく 経費精算システム・コンカーの戦略的マンガ制作

interview2022.07.19

全世界で出張・経費管理クラウドサービスのトップシェアを誇る株式会社コンカー。アメリカでは経費精算することを、「コンカーする」と表現するほど浸透しています。
そんなコンカーが日本市場で新規顧客開拓を図るため、LEGIKA(旧:NEWVERY)と共に”戦略的“ビジネスマンガを制作しました。

コミカルなオリジナルキャラで、営業資料の理解度を強化(株式会社コンカー)

https://www.legika.com/showcase/93

 

「マンガなら手に取りやすく、分かりにくいサービスを分かりやすく説明できる」と株式会社コンカー/マーケティング本部・本部長の柿野拓さんは語ります。
今回は、コンカーがビジネスにマンガを取り入れることを決めた経緯や制作過程、マンガを利用したマーケティングの成果など、ビジネスマンガ制作の魅力について、柿野さんと同本部の吉田さんにお話をうかがいました。

 

コンカーのビジョンは「日本から経費精算をなくす」こと

――「コンカーのここがすごい!」というポイントをお聞かせいただけますか?

柿野:おかげさまで、コンカーは日本を含む全世界でトップシェアを誇っており、発生する経費総額の約10%以上を処理していると言われています。
海外ではコンカーのソリューションをご指名いただき、ほぼ一択で選んでいただけることも少なくありません。
日本でも、時価総額トップ100に入る大企業のうち、6割弱のお客様も既にコンカーを活用しています。

株式会社コンカー/マーケティング本部・本部長 柿野拓さん

――経費総額の約10%! 全世界で認知される、すごいサービスなんですね。そんなコンカーが心がけていることはなんですか?

柿野:お客様に、経費精算のようなムダが多い業務をなくしていただきたいと思っています。
アメリカでは経費精算をすることを「コンカーする」と言うくらい浸透していて、中堅中小企業の売上規模の方が大企業を超えています。今後は日本においても、そのような状況を実現したいですね。
そのために、「日本から経費精算をなくす」というヴィジョンを掲げて、日本市場のニーズに合わせた製品・サービスの提供を心がけています。

――やはり日本と海外ではニーズが異なりますか?

吉田:日本と海外ではビジネス上の商習慣や法律も色々違います。
経費精算に関しても、日本ではレシートで財布をパンパンにして、月末に糊貼りして精算、という光景をよく見かけますよね。アメリカではあり得ません。
レシートをもらうと同時にその場で経費精算ができて、すぐ捨てるのが当たり前なんです。

株式会社コンカー/マーケティング本部 吉田さん

 

「分かりやすさ」と「親しみやすさ」を求め、自社キャラクターをマンガに

――今回、日本市場でサービスを展開していくにあたって、マンガを利用しようと考えた理由をお聞かせください。

柿野:中堅中小企業へのアプローチとして「分かりやすさ」と「親しみやすさ」に注力しています。そこでたどり着いた答えが「伝えたいメッセージをコミカルに描く」ことでした。

―― 「分かりやすさ」と「親しみやすさ」はマンガの得意とするところですよね。そうして生まれたのが自社キャラクターを活用した【レシートモンスターのマンガ】ですか?

柿野:はい。私たちが訴求したいブランド感は、スタイリッシュで、おしゃれで、かっこいいイメージなので、コミカルに描きすぎると目指したいブランド感との齟齬が生じてしまいます。
そこで、センスはあるけどコミカルで、分かりやすく、親しみやすいというイメージから生まれたキャラクターが【レシートモンスター】です。

 

柿野:レシートモンスターは、月末にお財布が領収書でパンパンになった人を見つけると追いかけていく、そんなコンセプトのモンスターです。日本生まれですが、世界に展開されているちょっと面白い存在です。
このキャラクターのよさを生かしながら、コンカーに興味を持ってもらうきっかけ作りとして、マンガにもしてみました。

――自社キャラクターをマンガとして活かそうと考えられたのはどなたですか?

柿野:コンテンツマーケティングの担当者が「マンガにしましょうよ!」と提案してくれました。
その担当者とは以前、別のプロジェクトでマンガを利用してコンカーのコアバリューを分かりやすく紹介するという仕事を一緒にやったことがあったんです(※)。
なので、レシートモンスターもマンガにしてもらおう!ということになりました。

※コンカーの5つのコアバリュー:
https://www.concur.co.jp/newsroom/article/corevalue-manga-1
https://www.legika.com/showcase/132

――マンガ化することについて、吉田さんはどう感じられましたか?

吉田:当時私はコンテンツの担当ではなく、インサイドセールスで中堅中小市場を担当していたんですね。インサイドセールスは、コンカーのサービスに関心を持ってもらい、商談させていただくまでを担当しているので、お客様に分かりやすく伝えることも仕事の1つです。
マンガになったら「パッとわかってもらえるものができるかな?」とぼんやり感じていました。

LEGIKAと制作したマンガは、展示会に営業ツールにと大活躍

――LEGIKAの戦略的マンガ制作サービスを利用して完成したマンガを、お客様が手に取った時の反応はいかがでしたか?

柿野:そもそもコンカーに関心が無いお客様に、製品カタログやパンフレットを手に取ってもらうことは大きなハードルなんです。だけど、マンガだと手に取りやすいし、面白いシナリオなら理解も進むので、とても良いコンテンツとして機能していると思います。

――分かりにくいシステム系のサービスも、マンガにすることで内容を伝えやすくなりますよね。実際に業績アップに繋がりましたか?

柿野:マンガの直接的な効果を示すことはなかなか難しいのですが、今期の売上の案件数で言えば、64%は中堅中小企業向けのソリューションが占めています。
もちろん、マンガ以外にも様々なアプローチを仕掛けた結果ですが、マンガの効果もあると思います。

――展示会などで配布する以外に、どういった場面でマンガを活用されていますか?

柿野:はい。販売代理店さんのセールスツールとしての活用も進んでいると思います。
販売代理店さんはさまざまな商材を扱っているので、特定の商品だけを説明するという場面は少ないです。その中で、コンカーを紹介する際はまずマンガを渡してもらうことで、お客様の理解が進みやすくなるということはあると思います。

――販売代理店の営業ツールとしても、マンガはとても優秀なんですね。ちなみに、お客様からはどのような反応がありますか?

柿野:営業や販売代理店さんから、「あれ(マンガ)面白いね」「お客さん、興味持ってくれたよ」という話をよく聞きますので、アイスブレイクも兼ねた営業ツールになっていると感じます。
少しでも興味を持ってもらえれば、商談でお客様ごとに価値をお伝えできるのですが、関心がない人に少しの興味を持ってもらうというのが、マーケティング上で一番難しいところなんです。
「そもそも興味がない人に気軽に見てもらえる」マンガが、マーケティングを行う上で非常に使いやすいツールであることは事実ですね。

 ――関心がなかったお客様にも、興味を持ってもらうきっかけになっているんですね!マンガ制作によって、社内にも変化はありましたか?

 柿野:レシートモンスターのマンガの評判自体が良かったので、簡易診断もマンガで紹介するものを制作しました。

吉田:「こんなお困りごとがあったらコンカーだよ」みたいな一枚ものの資料です。レシモン(レシートモンスターの愛称)のマンガに出てくるキャラクターをそのまま活かしたチェックリストです。

――登場人物がみんなイキイキとしているので、色々なツールに活用できそうですね。 レシモンのファンも増えたりして!

吉田:はい、レシモンのファンが増えまして、追加でイラストカットをいくつかお願いして、ステッカーも作りました。

柿野:ステッカーはPCに貼っています。お客様から見えるので、対面で会う時には「これなに?」と聞かれるみたいな。こちらも、アイスブレイクに役立っていますね。

――PCは必ず目に入りますから、ステッカーはナイスな戦略ですね。

柿野:そうなんですよ。マンガに、診断シートに、PCも。商談をレシモンで彩る(笑)。レシモンのマンガは興味を喚起するのに大きな役割を果たしていると思います。

分かりにくいものが分かりやすくなる。マンガだからこそ表現できること

――マンガ制作について詳しくお聞かせください。マンガだからこそ表現できたことはありますか?

柿野:僕たちがやりたかった、映像だと表現しきれないようなコミカルとかシニカルな部分は、マンガだから表現できたことです。

――どのようなことをマンガで表現したいとお考えだったのでしょうか。

柿野:表現したかったのは、経費精算という生産性の低い業務に忙殺される現場の疲弊感や、そういう仕事がモチベーションの低下を生んでいることなどですね。そんな環境をレシートモンスターは好みますし、そんなサラリーマンを追いかけていく習性があります。
コンカーを導入すると、次第に社内から紙のレシートがなくなっていきます。そうなるとレシートモンスターは生きられなくなるので、紙だらけの別の会社へターゲットを移します。
とてもシンプルで分かりやすいストーリーで、「次はあなたの会社にレシートモンスターがいくかもしれないですよ」という終わり方にしました。

――今回は「経費精算」をテーマにマンガを制作しましたが、他にもマンガにすれば伝わりやすくなるだろうな、と感じるテーマはありますか?

柿野:複雑で伝わりにくい内容のものは、マンガにした方がお客様にわかってもらえるかもしれません。映像は色や音など情報が多い。マンガは要素を強調できるし、情報量も少ないので、頭の中に入りやすいんです。だから映像よりもマンガの方が、我々が導き出したいストーリーをダイレクトに届けやすい特徴があるように思います。

――吉田さんは、マンガになったら「(サービスの内容を)パッとわかってもらえるものができるかな?」と感じたとおっしゃられていましたが、実際に完成してみるといかがでしたか?

吉田:分かりにくいものが分かりやすくなるっていうのは、その通りだと思います。
あとは、自分には関係なさそうなことでも、身近に感じるようになるところかな。今のやり方しか知らない人に、何を言ってもアナログな経費精算をなくすことの良さはわかってもらいにくいと思うんです。
自分のお財布からお金を払って、レシートをもらって、会社で経費精算書を作ってレシートを糊で貼って、申請する。新卒で入社した時からそういうフローで、そういうものだと思っていたら、そこに疑問は発生しないですよね。そういう人に経費精算を効率化しましょうって言っても、メリットが伝わらない。
でもマンガだと自分事化するというか。そこがマンガの良いところだと思います。

次回作は「インボイスモンスター」!? ビジネスマンガの活用法は無限大

――マンガは優れたマーケティングツールということが分かりましたが、今後LEGIKAとのコラボ3作目制作の可能性はありますか?

柿野:あるとしたら、中堅中小企業向けですね。そうだな……たとえば請求書とか? 請求書はインボイスとも呼ばれるので、インボイスモンスターというのはどうでしょう。 領収書は縦長ですが、請求書はA4サイズが多いので、レシモンよりもちょっと太った感じ? 割と面白いかも。

――社内から紙のレシートがなくなってレシモンが消えそうになると、次は弟分のインボイスモンスターが登場するんですね!

柿野:そうそう。今回のマンガを作る時も、インボイスモンスターを出してみようかという話もあったんです。実はモンスターはレシモンだけではなく、まだまだ続きがあるよということで、ティザーっぽく終わろう、という案もありました。

吉田:モンスターが出てこなくても、ソリューションがなんたるかを説明するのにマンガを使うのもありかもしれません。
たとえば新入社員や、急にDXをやるように言われた定年間近の社員を主人公にして、その人が成長していくストーリーとかも面白そうですよね。

――柿野さんも吉田さんもアイディアマンですね! LEGIKAとの3作目のコラボ、お待ちしております!
最後になりますが、「経費精算」とコンカーの未来について、想いをお聞かせください。

 柿野:もうアメリカでは紙ベースの仕事自体がほぼありませんし、コーポレートカードとコンカーを組み合わせるようなこともデファクトで進んでいます。分かりやすく言えば、高速道路のETC。使った経費は勝手に送られて、自動処理が進む。そんな未来はもう手に届くところまできています。
実は経費精算って、生涯で52日を費やす業務なんです。領収書や請求書といった社内で生まれる紙はさまざまな仕事の生産性を下げています。もっと生産的なことに時間を費やすべきだと思いますよね。
「経費精算のない世界」を実現することが、私たちの使命だと思っています。

――「経費精算のない世界」が実現されることを、心待ちにしています。コンカーの柿野さん・吉田さん、本日はお忙しいところありがとうございました!

 

 

 

「LEGIKA Studios」は、ビジネス現場の悩みを解決するマンガ制作スタジオです。
マンガを制作するのは、トキワ荘プロジェクトでつながるクリエイターたち。
ビジネスに精通するディレクターが、ニーズに合わせてプロットから丁寧に制作をサポートします。お気軽にご相談ください。